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佐藤 淳也; 菊地 博*; 加藤 潤; 榊原 哲朗; 松島 怜達; 佐藤 史紀; 小島 順二; 中澤 修
QST-M-8; QST Takasaki Annual Report 2016, P. 62, 2018/03
福島第一原子力発電所における多核種除去設備から発生している廃吸着材は、多量の放射性核種を含有しており、処分のために発生した固化体への放射線影響が懸念されている。本件は、廃吸着材の模擬物をセメント固化した試料において放射線分解によって発生する水素ガス量の調査を目的として実施した。チタン酸塩, 酸化チタン, フェロシアン化物, キレート樹脂及び樹脂系吸着材を対象として、セメント固化材(普通ポルトランドセメント及び高炉スラグセメント)を用いて固化試料を作製した。量子科学技術研究開発機構高崎量子応用研究所のコバルト照射施設を利用して線の照射試験を行い、セメント固化試料からの水素ガス発生を調査した。試験の結果、セメント固化試料から発生した水素ガス量を求め、水素ガス発生のG値を算出することができた。
山田 正行; 山西 敏彦; 洲 亘; 鈴木 卓美; 中村 博文; 河村 繕範; 岩井 保則; 小林 和容; 磯部 兼嗣; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 41(3), p.593 - 597, 2002/05
日本原子力研究所のTPL(トリチウムプロセス研究棟)は、日本において、核融合研究に1g以上のトリチウムを取り扱うことのできる唯一の施設である。TPLの建屋は1984年に、安全設備は1985年に完成し、その許認可,トリチウムの搬入を経て、1988年よりトリチウムを用いた運転を開始した。現在(2001年4月)のトリチウム貯蔵許可量は22.2PBq(63g)である。TPLの安全はトリチウムの多重閉じ込めによって確保されており、閉じ込め空間に漏洩したトリチウムを除くために、触媒酸化塔と水分吸着塔からなる除去装置が備えられている。最近10年間のTPLにおける運転実績として、スタックから放出されたトリチウム平均濃度は2.310Bq/cmである。この値は、法令上定められている空気中のトリチウム水蒸気許認可濃度の1/200以下であり、トリチウム安全取り扱い実績を積み上げている。
林 巧; 小林 和容; 西 正孝
原子力eye, 47(5), p.73 - 76, 2001/05
核融合炉は、放射性物質であるトリチウムを燃料として用いることから、その十分な安全を確保することが重要な課題である。トリチウムは通常、気密の装置の中で安全に取り扱われるが、万一、室内への異常漏洩を想定した場合、換気装置を停止してトリチウムを室内に閉じ込め、除去設備によってトリチウムを除去する。トリチウム除去設備は、触媒酸化水分吸着方式が世界のトリチウム施設で採用され最も実績がある。この実績から、ITERの大規模空間でのトリチウム除去について予測することは可能であるが、安全の立場から、ITERと同程度の大規模空間でトリチウム除去設備の性能を検証することが望まれていた。今回、ロスアラモス国立研究所の所有する3000mの実験室を用い、トリチウムを室内に計画放出して2500m/hの大型トリチウム除去設備の性能を実証する日米共同試験に成功した。
林 巧; 奥野 健二; 石田 敏勝*; 山田 正行; 鈴木 卓美
Fusion Engineering and Design, 39-40, p.901 - 907, 1998/00
被引用回数:24 パーセンタイル:85.13(Nuclear Science & Technology)ITERクラスの施設におけるトリチウム除去設備は、その安全の考え方及び運転シナリオにもよるが、非常に大規模な設備となり得る。原研では、より小型で効率的なトリチウム除去設備をめざして、気体分離膜の水素及び水蒸気に対する選択的透過性能に着目した新しいシステムを考案、開発してきている。本システムでは、被処理ガスを気体分離膜を介して循環することにより、最終的な処理ガス量を減容し、又、大気中の湿分を直接凝縮する。膜質は、トリチウム成分(HT、HTO)に対する選択的透過性能と耐久性、大容量モジュール(中空糸膜等)の存在からポリイミドとした。現状では、トリチウムでの実証試験済の中空糸膜モジュールは40.1m1.8m long程度のサイズで、処理流量は、(1)モジュール透過側をパージする方式と(2)高透過タイプ膜の適用により、約1桁(~数100m/mクラス)向上した。このモジュールを適用し、ITER規模用除去設備を設計した。
林 巧
プラズマ・核融合学会誌, 73(12), p.1341 - 1346, 1997/12
より安全性及び社会的受容性の高い核融合エネルギーシステムを建設するためには、通常運転時・点検保守及び異常時におけるトリチウムの作業従事者への被ばく防止、環境への放出量低減など、総合的なトリチウム安全閉じ込め技術の向上が重要な課題の1つである。本章では、核融合炉における閉じ込め系(特に作業室、建屋等)内のトリチウム挙動に関する研究の現状と課題について、(1)トリチウム閉じ込め概念とさらなる安全性向上に向けた研究対象を整理し、(2)現状の研究状況(基礎データ、トリチウム挙動評価手法など)と閉じ込め系開発状況を紹介し、(3)今後の課題(基礎データの整理・拡充と閉じ込め系総合実証試験など)を整理した。
石田 敏勝*; 林 巧; 山田 正行; 鈴木 卓美; 奥野 健二
Fusion Technology, 30(3), p.926 - 930, 1996/12
水素、及び水分に対して高い透過性を有しているポリイミド製分離膜モジュールをトリチウム除去設備へ適用することにより、従来から用いられてきた触媒酸化・吸着設備での処理量を低減し、設備の減容が可能であると考えられている。本実験では、ポリイミド製分離膜モジュールに水素含有乾燥窒素、アルゴンガス、及び乾燥空気(水素濃度300~1,000ppm)を各々供給して水素ガスの分離実験を実施した。また、既設SPSグローブボックス空気雰囲気に水素ガスを添加し(約600ppmv)、気体分離膜を用いた水素ガス除去試験を実施した。併せて、本気体分離膜モジュールをグローブボックス等の二次格納系へ適用したときの設備規模についても検討を行う。また、各ベースガスである窒素,アルゴン,乾燥空気中の水素成分の膜分離について、理論的条件における解析作業を行う。
林 巧; 山田 正行; 鈴木 卓美; 松田 祐二; 奥野 健二
Fusion Technology, 28(3), p.1503 - 1508, 1995/10
既存の触媒酸化・水分吸着方式のトリチウム除去系は原研・TPLにおいても十分な除去性能を実証しているが、ITERクラスの大型格納系にスケールアップすると、設備が大きくなりすぎる。このため、当研究室では、気体分離膜を用いたトリチウム除去設備の小型化の研究開発を進めている。市販の大型気体分離膜の中で水素及び水蒸気の窒素に対する透過係数の比の大きなものはポリイミド膜があり、その透過性能(選択的)は入口水素濃度100ppm,トリチウム条件下でも(50ci/mで10年連続運転)変化しないことを確認した。そのポリイミド中空系膜モジュール(40m程度)を用い、水素及びトリチウムの窒素及び空気からの回収率を、透過/供給流量比(CUT),透過/供給圧力比()等をパラメータとして調べた。本報では特に、モジュールの回収性能についてまとめる。
平田 慎吾*; 角田 俊也*; 怡土 英毅*; 鈴木 達志*; 林 巧; 石田 敏勝*; 松田 祐二; 奥野 健二
Fusion Technology, 28(3), p.1521 - 1526, 1995/10
水素、及び水分に対して高い透過性を有しているポリイミド製分離膜モジュールをトリチウム除去設備へ適用することにより、従来から用いられてきた触媒酸化・吸着設備での処理量を低減し、設備の減容が可能であると考えられている。本実験では、ポリイミド製分離膜モジュールに水素含有乾燥窒素、及び水分含有窒素を供給して分離実験を実施した。また、窒素中の水素、及び水分の膜分離について理論的条件における解析作業を行った。本実験、及び解析の結果、ポリイミド分離膜は窒素中の水素、及び水分を選択的に透過することが確認された。特に水分については高い透過性を有していることが確認された。本実験に使用した分離膜では、分離膜モジュールの透過側/供給側圧力比を1/1000と充分に小さくすることにり、供給された混合ガスを1/100に減容することができた。
林 巧; 奥野 健二
Materials for Advanced Energy Systems & Fission and Fusion Engineering '94, p.205 - 207, 1994/06
原研・TPLでは、ITER及び将来の核融合炉等大規模トリチウム格納室を必要とする施設にむけ、水素及び水蒸気に対して高い透過性能を有する気体分離膜を用いた新しいコンパクト・トリチウム格納,除去システムの研究開発を行っている。小型のポリイミド膜(気体分離膜)モジュール(有効面積~2m)を用いた予備試験では、(1)トリチウム汚染ガス処理流量を実質的に1桁以上減容できること,(2)室内の湿度が大部分をしめる水を通常の乾燥塔を通す前に直接回収できる可能性があること,(3)以上より、全体のトリチウム除去システムを十分小型化できることなどを確認した。現在、ITER-ADS(雰囲気トリチウム除去設備)の設計に向け、本格的な有効な気体分離膜の透過性能,対トリチウム耐久性等の確認とともに、スケールドモジュール(有効面積~40m)を用いたトリチウム分離特性試験を実施している。
林 巧; 中村 博文; 岩井 保則; 河村 繕範; 磯部 兼嗣; 山田 正行; 鈴木 卓美; 倉田 理江; 枝尾 祐希; Perevezentsev, A.*
no journal, ,
日本は、ITERのトリチウム除去系(DS)の50%の調達分担の責任を負っており、現在DSの設計支援、性能実証試験等の活動を行っている。DSは通常時および異常時においてITER施設から排出される空気からトリチウムを除去し、環境へのトリチウム排出量を抑制する安全上の要となるシステムであり、大きく分けて3つの除去システム(トカマク複合建屋除去系、ホットセル施設除去系およびグローブボックス除去系)からなる。基本的に触媒酸化-水分吸着方式を適用するが、ITER-DSでは水分吸着に従来の乾燥塔ではなく、長期運転時の故障確率の低減の観点から、水-水蒸気向流交換法による湿式スクラバ塔(SC法)を採用する。一般に、SC法は産業利用実績を有するが、トリチウム除去系への採用実績は無く、ITERタスクを受け、単体での性能実証試験(1/4規模: 350m/h)を実施して平成25年度ITER機構に報告した。これらを踏まえ、現在、予備設計評価(平成26年度7月)の準備支援を実施しつつ、コスト低減及び工程遅延防止の観点から、ITER機構と共同調達活動を行う案を検討であり、本稿では、これらのDS調達の現状を報告する。
福田 裕平; 荒井 陽一; 菅沼 隆; 比内 浩; 佐野 雄一; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
福島第一原子力発電所の多核種除去設備から発生する汚染水処理二次廃棄物の処理・処分方法を検討するために、放射能分析を行う必要がある。放射能および放射能分析を行うためには、分析前処理として二次廃棄物の溶液化が必須となる。そのため、多核種除去設備で使用されている吸着材の一種であるキレート樹脂を対象に、キレート樹脂の除去対象元素(Co)等を吸着させた模擬廃棄物を調製し、加熱処理-酸溶解法および溶離法の2種類の分析前処理(溶液化)方法について、適用性を検討した。加熱処理-酸溶解法では、Coはほぼ回収することができたが、Ruは揮発によって回収率が低くなる結果となった。溶離法では、模擬廃棄物に吸着させた4元素をおおよそ回収することができた。加熱処理-酸溶解法、溶離法どちらの方法についてもRu以外の元素については適用性を確認することができた。
荒井 陽一; 佐野 雄一; 菅沼 隆; 比内 浩; 池田 昭*; 小畑 政道*; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所の汚染水を処理する多核種除去設備の運転に伴う二次廃棄物として、前処理設備から2種類のスラリー、多核種除去装置から7種類の吸着材が発生する。これらに含まれる放射性核種等の分析には、試料を完全に溶液化した後、妨害成分の除去や分析成分の濃縮等の前処理が必要である。本研究では、難溶解性フェロシアン化合物の溶液化に関する基礎データの取得のため、Csを吸着した模擬廃棄物試料の熱分解特性と、熱分解生成物の酸溶解性を調査した。500Cで熱分解した試料を用いて実施した各溶解試験の結果、硝酸に対する溶解性は、硝酸濃度が高く溶解時間が長いほど高くなり、これらの条件に依存する傾向が認められ、濃硝酸(約13mol/L)を用いた4時間の溶解では100%に近い溶解率に達した。混酸は濃硝酸と同等の溶解率を示し、硫酸の溶解率は約70%と他の条件と比較しても低い傾向にあった。なお、吸着したCsは、熱分解処理試料の溶解条件には依存せず、約90から100%と高い回収率が得られた。以上より、熱分解と酸溶解法を組み合わせた前処理により、Csを吸着した難溶解性フェロシアン化合物の溶液化の方法として採用できる見通しを得た。
福田 裕平; 菅沼 隆; 比内 浩; 池田 昭*; 小畑 政道*; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
福島第一原子力発電所では、汚染水中の放射性核種の除去を目的として多核種除去設備が運転されている。多核種除去設備の前処理設備からは、高線量の鉄共沈スラリーおよび炭酸塩スラリー廃棄物が発生する。これらのスラリー廃棄物は、長期保管においての漏えいなどのリスク低減のため、固液分離し、水分除去を行うことが望ましい。固液分離技術の一つとしてろ過法があり、その適用性を検討する上でスラリー廃棄物の粒子径データの取得が必須である。今回、スラリー廃棄物の粒度分布測定法として、マイクロスコープによる非接触測定を活かし、測定機器(マイクロスコープ)の汚染要因を排除した、画像解析法による粒度分布測定法を構築し、多核種除去設備から採取した実際の炭酸塩スラリーの粒度分布および平均粒子径のデータを取得した。その結果、平均粒子径(個数基準)は3.62m、メジアン径(個数基準)は2.36m、検出された最大粒子径は23.2mであった。この結果は、今後、スラリー廃棄物の固液分離技術を設計検討する上での指標となると考えられる。
比内 浩; 篠田 芳晴; 黒沢 明; 池田 昭*; 小畑 政道*; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
福島第一原子力発電所において、放射性汚染水中の放射性核種の除去を目的として多核種除去設備が運転されている。発生する廃棄物については、処理処分方法を検討するため、その中に含まれる放射性核種の種類と放射能濃度を詳細に把握することが必要となる。前処理設備から発生するスラリーについて、放射化学分析により性状を調べた。その結果、Srでは鉄共沈スラリーで1.210Bq/ml、炭酸塩沈殿スラリーで1.410Bq/mlの濃度を検出した。
福田 裕平; 菅沼 隆; 比内 浩; 池田 昭*; 小畑 政道*; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
既設多核種除去設備及び増設多核種除去設備の前処理設備から発生した炭酸塩スラリー廃棄物を採取し、その性状を調査するためICP-AESによる元素濃度分析と粒度分布測定を行った。ICP-AESによる元素濃度分析では、前処理設備の除去対象元素であるCa, Mgを高い濃度で検出し、この他に有意量のNa, Si, Fe及びSrを検出した。試料間において、Ca/Mg濃度比に最大約2倍の差が認められたが、これは、処理水(供給水)の組成の違いによるものと推定される。また、粒度分布測定の結果、今回までに試料採取した範囲では、設備の違いや処理水の組成によらず同程度の粒子径のスラリー廃棄物が発生していることがわかった。これらのデータは、スラリー廃棄物の安定保管の検討に資するものである。
荒井 陽一; 比内 浩; 駒 義和; 池田 昭*; 小畑 政道*; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
多核種除去設備の炭酸塩スラリー廃棄物を収納する高性能容器(HIC)の上部にたまり水が発生した。炭酸塩スラリー廃棄物は主にSr-Yを含み、この線によりスラリー中の水の放射線分解により水素ガスが発生し、スラリー内に滞留することによる見かけの体積膨張が一因と推察されている。このため、実スラリーから発生する水素量を測定し、水素発生挙動を調査した。水素濃度の経時変化により、炭酸塩スラリーから発生する水素の総量は時間に比例して増加した。水素発生のG値は水の放射線分解によるG値と同程度であり、試料から発生した水素ガスはスラリーに含まれる水の放射線分解に起因すると推察される。スラリー層中の水素の滞留については21日後、スラリー層に保持された水素を気層に追い出すために容器を振とうして水素濃度を測定した結果、振とう前後の水素濃度は同程度であった。スラリー層が1.8cmと極端に短い本体系では、水素はスラリー層から気層へと速やかに移行した。固液比の影響については、固液比が10%程度増加した条件では水素発生量に変化は認められなかった。以上より、水素の滞留による見かけの液位上昇には、一定のスラリー層の高さや密度が必要であると考えられる。
駒田 諒*; 矢部 勇樹*; 新井 剛*; 佐藤 史紀; 小島 順二
no journal, ,
多核種除去設備の処理水に含まれるCdの放射能分析の改善を目的に、自製の無機-有機複合型両性イオン交換体(SAIX)を用いたクロマトグラフィ法による分析妨害元素の除去技術について検討している。本研究によりSAIXの処理水に含まれる核種の基礎的な吸着・溶離挙動が明らかとなり、クロマトグラフィ法により模擬処理水からCd(II)を単離できることが示された。
福田 裕平; 比内 浩; 柴田 淳広; 野村 和則; 池田 昭*; 小畑 政道*; 市川 真史*; 高橋 陵太*; 平山 文夫*
no journal, ,
既設多核種除去設備及び増設多核種除去設備の前処理設備から発生した炭酸塩スラリー廃棄物を採取し、その性状比較を行うため、放射化学分析, pH測定, SEM-EDX分析を行った。放射化学分析の結果、H-3, Mn-54, Co-60, Sr-90, Sb-125, Cs-134, Cs-137が検出された。既設・増設のどちらのスラリーについてもSr-90が支配的であり、Sr-90濃度は、既設スラリー: 710 Bq/cm、増設スラリー: 610 Bq/cmであった。この既設・増設のスラリーの性状の違いは、既設・増設の処理工程の違いである鉄共沈工程の有無の差や処理を行った汚染水の組成の違いによるものと推定される。
福田 裕平; 荒井 陽一; 比内 浩; 野村 和則; 池田 昭*; 小畑 政道*; 市川 真史*; 高橋 陵太*; 平山 文夫*
no journal, ,
増設多核種除去設備の前処理設備にて発生し、約5か月間高性能容器(HIC)に保管されていた炭酸塩スラリーを、深さ位置を変えて3点(深さ60cm, 100cm, 150cm)採取し、ICP-AESによる元素濃度分析及び放射能分析等の各種分析を行い、炭酸塩スラリーの性状と採取深さ位置の関係を調べた。元素濃度分析の結果、Mg, Ca, Na等が検出されたが、各試料の金属元素組成比に違いは認められず、採取深さに関係なく試料中の固体成分の組成は同一であると推察する。しかし、固体成分の割合は、採取深さ60cmの試料に比べて、100cmと150cmの試料が大きい結果となった。また、Sr-90放射能濃度の結果も同様の傾向となった。スラリー中の粒子が沈降することにより、固体成分の割合が上昇し、その結果、放射能濃度が高くなったと推定される。これらの結果は、スラリー試料のインベントリ評価や、今後の評価の際のスラリー採取位置の検討に役立てられる。
比内 浩; 荒井 陽一; 福田 裕平; 黒澤 明; 駒 義和; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
福島第一原子力発電所には、放射性汚染水中の放射性核種の除去を目的とした多核種除去設備(MRRS)が運転されている。MRRSは2つの前処理設備(鉄共沈処理設備と炭酸塩沈殿処理設備)と吸着塔から構成されており、トリチウムを除くほとんどの核種を取り除くことができる。しかし、この汚染水処理に伴い高線量の二次廃棄物(スラリー、廃吸着材)が発生し、高性能容器(HIC)に一時保管されている。これらの二次廃棄物の処理処分方法を検討するため、様々な性状を詳細に把握することが必要となる。このため炭酸塩沈殿スラリーの採取を行い、核燃料サイクル工学研究所に輸送し、各種分析を実施した。炭酸塩スラリーから高濃度のSr-90(1.310[Bq/cm])が検出され、汚染水のSr-90が炭酸沈殿工程で濃縮されていることが示唆された。また、微量の線核種が検出された。ICP-AESでの元素分析の結果、スラリーのほとんどはCaCOとMg(OH)に占められていると推定され、炭酸沈殿工程が正常に機能していることが示された。また、炭酸塩スラリーの粒子サイズを画像解析法により測定し、メディアン径が数m程度であることが分かった。